2拍待つと、相手はもう一段深く答える

記者を20年やって、一番使った技術がこれです。特別なことは何もしません。相手が答え終わったあと、2拍——およそ1秒半——黙る。それだけです。
なぜ出るのか
人は、自分の答えが短すぎたと感じると、勝手に足します。「……まあ、正直に言うと、あのときは判断が遅れました」というのは、たいてい2拍目のあとに出てきます。
逆に、こちらがすぐ次の質問をすると、相手は「答えは足りていた」と受け取ります。そこで話が閉じる。次の質問がどれだけ良くても、閉じたあとでは戻れません。
沈黙を怖がる側の問題
稽古で難しいのは、待つ技術ではなく、待つ度胸のほうです。1秒半は、黙っている側にはかなり長く感じます。気まずさを埋めようとして、言い換えたり、質問を重ねたりする。
ここで足された二つ目の質問が、最初の質問を台無しにします。「どう思われましたか。……あ、たとえば現場の反応とか」——後半で範囲を狭めてしまっている。
拍を数える
宿題は単純です。会話を録音して、聞き返しながら、相手の答えの終わりに何拍待てたかを数える。二週間、毎日一つ。
最初の週はほぼゼロです。二週目で1拍、三週目で2拍まで伸びます。伸びたあとに変わるのは、自分の話し方ではなく、相手の答えの長さです。そこで効いていると分かります。